オーストラリア・ニュージーランドの鉄道を紹介します!
AUandNZ Railfan
Australia and New Zealand Railfan
パッフィンビリー鉄道
Puffing-Billy Railway
1900年代初期に遠隔地開拓のために建設されましたが、1953年に発生した地滑りをきっかけとし、時代の移り変わりとともに廃線となりました。
その後、地元の人々により保存協会が結成され、ビクトリア政府や市民軍事局などの協力を得て運行が再開されました。
現在はベルグレーブ(Belgrave)からジェムブルック(Gembrook)までの25.1kmを結んでいます。
物資や家畜運搬としての利用はなくなりましたが、人々に親しまれる蒸気機関車として生まれ変わりました。
600人以上のボランティアにより、クリスマスを除く毎日運行となっています。 オーストラリアで最も人々に親しまれている蒸気機関車と言われています。

メルボルン中心地から40kmほど離れたメトロのベルグレーブ駅。
この駅の先にパッフィンビリー鉄道の駅があります。

駅の延長線上にはパッフィンビリー鉄道の車両群が留置されています。
メトロは標準軌なのに対しパッフィンビリー鉄道は762mmのナローゲージのため、直通運転等はありません。

保存鉄道らしからぬLED発車案内表示機。
本数もそれなりにありますが、途中のレイクサイド止まりが多く、終点のジェムブルックまで走破する便は少ないです。

パッフィンビリー駅。
ここがパッフィンビリー鉄道の始発駅です。
運賃は距離制となっており、片道と往復があります。

オーストラリアでよく目にする昔ながらの発車案内表示。
時計の示す時間が次の発車時刻となっています。

パッフィンビリー鉄道といえば蒸気機関車が有名ですが、ディーゼル機関車も在籍しています。
乾燥が酷いときは山火事防止のためにディーゼル機関車でけん引することもあるそうです。

発車準備をするNA class No.6A(左)とNA class No.8A(右)
この日は多客のため、朝一番の列車において重連運転となりました。

6Aは1901年製の蒸気機関車。緑の塗装はこの機関車の新製時(1901-1906)の姿を復元したものだそうです。
パッフィンビリー鉄道を代表する機関車です。

8Aは1908年製の蒸気機関車。先端に金属の膨らみがない煙突と大きなヘッドライトが特徴です。

重連となり、パッフィンビリー駅に入線するNo.6AとNo.8A。

客車のほとんどがオープンデッキ構造となっている客車で、一部はクロスシート座席のある客車です

格式の高そうな客車も連結されました。。
こちらの客車は特別料金が必要だったかもしれません。

編成が長すぎるため、機関車がホームからはみ出しています。
信号機も懐かしの腕木式となっています。

観光地によく見られる通称「顔ハメ看板」。
日本ほどではありませんがオーストラリアでも存在します。
ちなみに英語では「comic foreground」(foreground=前景)。
機関車からだけでなく、パッフィンビリーの特徴である客車から足を投げ出す乗客も顔ハメで参加することができます。

発車準備が整いました。
パッフィンビリー鉄道の特徴の一つに、客車の窓に腰かけ、足を投げ出して乗るというスタイルがあります。
足を投げ出して座る方は、靴を落とさないように注意。また、すすが飛んでくるので少々汚れても良い服装を。
冬に乗車する場合は、窓がないためしっかりとした防寒対策が必要です。
ちなみに日本人は恥ずかしがってあまり足を投げ出さないそうです。

パッフィンビリー駅を出発すると、ほどなくしてモンブルク・クリーク・トレッスル橋にさしかかります。
右にカーブしているため、進行方向右手側に座っていると橋を良く見ることができます。

モンブルク・クリーク・トレッスル橋を通過する重連の機関車。
ちょうど踏切に差し掛かるところで、この踏切から撮影した映像を良く見ます。
この踏切に続く道は2010年時点では立ち入り禁止となっていました。

振り返ってパッフィンビリー駅方面を望みます。
編成が長すぎて最後尾まで確認できません。
この一体はシャーブルック森林と呼ばれ、ユーカリの一種であるマウンテンアッシュが自生しています。
このユーカリは花を咲かせる植物としては世界最大だそうです。

丘陵地帯を走行する重連の機関車。

警報機のある踏切を通過します。
全線で15か所の踏切があります。(歩行者専用のものは除く)
日本の保存鉄道では公道と交差する踏切の設置が法律上困難ですが、オーストラリアの法は保存鉄道に寛容です。

最初に客扱いを行う停車駅であるメンジーズクリーク駅に到着しました。
島式ホームの1面2線構造で、反対列車と行き違いができます。
駅前に大型バスが何台も乗りつけることができ、パッフィンビリー駅からここまでのバスツアーが多く設定されているようです。

ツアーではこの駅で下車する人が多いため、編成を短縮し機関車の重連運連を解消します。

重連運転から単機牽引になりました。
ここから先はNo.8Aのみの牽引となります。

切り離されたNo.6A
パッフィンビリー駅まで回送するのでしょうか?!

停車時間を利用した運転台見学も行われました。

メンジーズクリーク駅には博物館が併設されており、保存された車両や資料を見物することができるそうです。
なお、博物館はしばらくの間休館になっているそうです。

メンジーズクリーク駅を発車し、鬱蒼と茂る森林を抜けていきます。

ノベリウス側線場。
かつてノベリウス農場が併設されており、ここにから国内に向けて苗や植物が鉄道経由で出荷されていました。
集荷場は改修され、現在は式場になっています。
ワインパーティなどのイベント会場に使用されています。

ノベリウス駅。
現在は客扱いはありませんが、当時はノベリウスの玄関口であった小さな駅です。

このノベリウス駅はパッフィンビリー鉄道のベルグレーブからジェムブルックまでのちょうど中間地点に当たります。

のどかな農園風景が車窓に広がります。

レイクサイド駅に到着しました。
ベルグレーブから13.2kmの地点です。
すぐ傍にはエメラルド湖という湖があります。
1998年にパッフィンビリー鉄道がジェムブルック駅まで開業するまでは、レイクサイド駅が終点となっていました

レイクサイド駅で一旦機関車を切り離します。
ここで給水をしてから出発します。

給水作業中のNo.8A

レイクサイド駅全景。
給水塔が立っています。

レイクサイド駅は1面2線の島式構造。
列車の行き違いが可能です。
また、この駅折り返しの便も設定されています。

ホーム上には待合室と給水設備があります。

給水を終え、ベルグレーブ方面の先頭に立つNo.8A
ターンテーブルは無いので、ベルグレーブ行きの機関車はバック走行となります。

今回乗車した客車。
窓にガラスは無く、窓に腰かけて足を外に投げ出すという非日常体験ができます。

車内は窓を向いたロングシートです。
シートは木製で、一応クッションもあります。

列車の後ろを追いかけるトロッコ。
このトロッコはファイアーパトロールで、蒸気機関車の火の粉で山火事が発生しないよう、列車走行後の線路周辺のチェックを行っています。

ベルグレーブからの2番列車がレイクサイド駅に入線しました。
この機関車はNA class No.7A
1905年製の蒸気機関車で、カナディアンパシフィックレッドと呼ばれる塗装が施されています。

レイクサイド駅でベルグレーブへ折り返すNo.8A牽引列車(左)と、終点ジェムブルックまで走破するNo.7A牽引列車(右)

終点までの走行に備え、給水をするNo.7A

レイクサイド駅を発車し、終点ジェムブルック駅を目指すNo.7A

レイクサイド駅近くの公園内の踏切を通過するNo.7A

客車にはパッフィンビリースタイルの乗客が窓に腰かけています。

自然豊かなレイクサイド駅でワライカワセミを見つけました。
ワライカワセミはオーストラリア固有のカワセミで、鳴き声が人が笑っているように聞こえることからその名か付けられています。
全長は40-47cm。ハトとカラスの中間くらいの大きさがあり、カワセミ科の中では最大の種類です。

飛び立つワライカワセミ
日本の動物園でも多く飼われており、その姿や鳴き声を楽しむことができます。

レイクサイド駅を発車し、ベルグレーブに戻るNo.8A牽引列車。
時間の都合上、残念ながら今回はレイクサイド駅で折り返しました。

モンブルク・クリーク・トレッスル橋をバック走行で渡るNo8A

モンブルク・クリーク・トレッスル橋を渡り終えると間もなくベルグレーブに到着します。

始発駅に戻ってきました。

メルボルンからメトロで気軽に乗りに行けるパッフィンビリー鉄道。
100年前の列車旅を味わうことができます。
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