Bシリーズ
B series

Bシリーズは2004年に導入されたトランスパースの通勤電車です。
高速化によって州都パースのパークアンドライド通勤に大きく貢献しました。

Bシリーズは2004-2015年に現ボンバルディアとダウナーEDIレールによって78編成234両が製造されました。
最高速度は160kmですが、営業では130kmに抑えられているようです。
編成は制御付き動力車2両と付随車1(T)の3両固定編成で、
バルター ← BEA+BET+BEB → マンジュラ 
最大2編成6両までの運用があります。

車長が1両あたり24mとAシリーズよりも約3m長くなったことや最高速度の違いから、基本的にはジュンダラップ線とマンジュラ線のみの運用となります。



BシリーズはブリスベンのシティトレインSMU240とほぼ同一設計となっております。
フロントマスクは丸みを強調したSMU240と違い、Bシリーズは精悍な顔つきとなりました。

画像上:SMU240
画像下:SMU240を基にしたBシリーズ



新線の高速運転に対応するため、台車にはディスクブレーキが採用されています。
制御装置はIGBT式VVVFインバータです。
その高い車両性能を生かし、新規開業したマンジュラ線ではパース~マンジュラの全線70.1kmを各駅停車(起点除く10駅)で50分で走ります。

評定速度で日本の列車(特急除く)と比較すると
超快速スノーラビット…88.6km
マンジュラ線各駅停車…84.12km
JRマリンライナー…82.8km
JR東海 新快速…82.1km
JR西日本 新快速…78.3km
と、かなりの速さであることがわかります。
さらに特筆すべきは、この数値は各駅停車のものということです。(ラッシュ帯に1駅のみ通過設定の列車もあります)
評定速度84km台の列車がラッシュ時には5分置きに発着する路線は珍しいのではないかと思われます。

そのような高速、高頻度運転を実現したのがBシリーズなのです。


パースはあまり街が大きくないため、自家用車での通勤が多くなると渋滞が発生しやすくなります。
パースの高速道路は全て無料なこともあり、通勤を自家用車のみからパークライドによる鉄道への転換を図るため、 新線の建設においては列車の高速、高頻度運転による高い利便性を実現することが求められました。

新線の開通とBシリーズの運用により、郊外の通勤事情に革命をもたらすことができました。

なお、オーストラリアの近郊列車事情として、競合する並行路線が存在しないため高速化は積極的ではありません。
どの路線に乗ってものんびりと走る列車がほとんどですが、Bシリーズで運用されるマンジュラ線は並行する高速道路の車を次々と 追い抜いていくので、とても爽快な気分です。


25KV対応のシングルアームパンタグラフを中間車であるBETの車両南寄りに搭載しています。
行き先表示機は登場当初からLED式でした。

なお側面には行先表示機はありません。


車内。
扉間の座席は集団離反式クロスシートが並んでいます。
Aシリーズはロングシートに改造されましたがBシリーズでは平均乗車時間がAシリーズ運用線区より長いため、クロスシートが採用されています。
しかし、ロングシートの編成も存在します。


扉付近の座席は優先席となっており、窓に背を向いた配置となっています。


扉付近は千鳥状に車椅子のための折りたたみ可能な座席が設けられています。


運転席側。
ロングシートになっており、窓は無く前面展望はできません。

天井にある黒いものは監視カメラで、1車両に2つ設置されています。


運転室の扉に張られている緊急避難経路図。


車両妻面。
Aシリーズとは違い、自動ドアで仕切られていません。


妻面付近には停車駅の案内を表示するLEDが設置されています。
表示はスクロールします。


吊革。
日本では見られない形をしています。
輪郭がクレヨンしんちゃんに似ているように思うのは私だけでしょうか!?


ロングシートのBシリーズ車内。
ロングシートの車内では吊革が座席に沿って配置されています。
なお、クロスシート車両は扉付近のみの配置となっています。


ロングシート車両は扉脇の座席が車いす用に収納できるようになっています。


パースアンダーグランド駅を発車するBシリーズ。
IGBT式VVVFインバータの音が響きます。


マンジュラ線車窓風景
マンジュラ→ウォーンブロ
この区間はトランスパースで一番駅間が長く、22.5kmの区間を13分、最高速度130kmで駆け抜けます。


Bシリーズの登場によってトランスパースの鉄道線の利用客は増加し、路線延伸に際して新型車両Cシリーズ が導入される予定となっております。


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