キャンベラ鉄道博物館
Canberra Railway Museum

キャンベラ鉄道博物館はキャンベラ郊外キングストンにある、キャンベラ駅隣にある鉄道博物館です。
オーストラリアで活躍した貴重な車両の保存、修復、運転を行っています。

キャンベラ鉄道博物館の目玉の一つは気動車の乗車体験です。
乗車チケットを購入することで、かつてのキャンベラ駅側線を利用した2kmほどの乗車体験ができます。


乗車できるのはCPHという気動車で、1923年から運行開始した骨董品の気動車です。
その外観からTin Hare(スズ うさぎ)と親しまれているようです。
主にニューサウスウェールズ州内の非電化区間や支線で活躍していました。


運転台


運転台横に前面展望に最適な座席が2つ配置されています。


ガッタンガッタンと独特のエンジン音を響かせながら出発します。
車両群で見えませんが、進行方向右奥に現在のキャンベラ駅があります。


保存された車両群。
側線に留置されている車両は客車が大半を占めています。


気動車もいます。
この気動車は1200型気動車。
1970年-1972年に製造され、1971年-1993年までの間、 メインサウスライン、サウスコーストラインで中、長距離列車として活躍していました。
カミンズ製エンジン NTA 855-R を搭載し、最高速度は112km
エンジンの電気系統が複雑であったため故障が多く、他の車両と比べると短命でした。
一部の車両はビクトリア州に買い取られ、第二の人生を送りました。


車両の一方の扉は両開きなのに対し、もう一方の扉は片開きなのが特徴的です。


両開きの扉の窓は、日本でよく見られる扉と似ています。
車内はクロスシートのようです。
この車両は禁煙車でした。


両運転台車両のようです。
反対側の側面も同じ造りなのか気になります。


かなりの客車が留置されており、形式や状態も様々です。




乗車体験の列車は博物館の敷地を出ると、シドニー方面へ進みます。


終点です。
右の線路が現役のシドニーへ向かう線路です。


すぐ横には工場があります。
貨車も留置されていることからこの路線はシドニー行きのエクスプローラーの他に貨物列車の設定もあるようです。


来た道を折り返します。
博物館の敷地が見えてきました。

乗車体験は基本的に月の第二日曜と最後の日曜のみとなっています。


展示車両の見学はスタッフの案内によるツアー形式となっています。
日本でいうところの鉄道博物館とは違い、テレビ番組の企画にあるような車庫見学と同じ形式です。


44型ディーゼル機関車、4403は周を跨ぐ優等列車の牽引に活躍した車両です。
1957年-1967年に100両製造されました。
最高速度は129km

ブルドッグスタイルが特徴です。


反対側は切り妻の顔です。


この博物館を訪れた数日後、たまたまイベント走行を行っている姿をアダムスタウン駅で撮影できました。
切り妻の顔が先頭に立っていました。
展示車両が本線を走行できるように整備されているということに感銘を受けます。


運転席


運転台


助手席
長距離運行のため、運転士の食事用に簡易コンロが設置されています。
パンをトーストしていたようです。


車体側面にはタブレットキャッチャーが装備されています。


この客車はDOGBOX(犬小屋)と呼ばれるアメリカンスタイルの客車です。
車内に通路が無く、乗降口から直接コンパートメントに入ります。


ファーストクラス車内
座席にスプリングが入っているのが特徴です。


セカンドクラス車内
座席にはスプリングがなく、簡単なクッションが敷かれています。


車内は通り抜けができないため、非常の際は天井の鎖を引くことで乗務員に信号を送ることができます。


網棚が設置されています。
網棚の支えの骨組みにはNSWの文字が組み込まれています。


客車妻面。
車内に通路が無いため貫通扉もありません。


続いて隣の寝台車へ


2段ベッドと洗面台があります。
ベッド上段と洗面台は収納可能で、日中はコンパートメント座席として利用できます。


車庫の屋内には修繕中の車両が置かれています。


木造の客車
ダブルルーフなのがわかります。


この客車はプルマン式寝台客車として製造されました。


そして1935年にDental Clinic Car(歯科の車両)に改造されました。
広大なオーストラリアにおいて小さな町では、鉄道車両が訪問医療として活躍していました。


歯科部分アップ
車端部に待合室があり、隣に診察台が2つあります。
その奥は控え室を挟んでシャワー付き個室寝台が2部屋ありました。


巨大なガーラット式蒸気機関車。
ガーラット式とは2組の走り装置を別々の車体に設け、 その両車の間に跨ってボイラーを搭載した主台枠が首振り構造で載る方式。
標準的な曲線において非常に大きな機関車を走らせるために用いられます。
日本にはない方式です。


ボイラーの前半分は整備中のためか、はずされてありません。


この博物館を代表する車両、Z12型蒸気機関車 1210 です。
この1210は最初にキャンベラを走行した記念すべき車両です。


1210は1878年に製造され、ニューサウスウェールズ州内を走りました。
そして1914年5月25日、初めてキャンベラに到着した車両となりました。
1958年に引退しました。

1210は正式に保存されることが決まり、1962年1月27日14時50分にキャンベラに到着しました。
キャンベラ駅の外に保存されましたが、1984年にキャンベラ鉄道博物館へ移りました。


1988年9月19日にイベント走行を行いました。
最も古い、本線走行が可能な蒸気機関車となりました。


現在は動輪に亀裂が入ってしまっているため、現時点では本線走行はできないそうです。
いずれ元気に走る姿を見てみたいです。


博物館には他にも様々な車両が保存されており、希望があれば車両を指定して見学もできるようです。




キャンベラ鉄道博物館
営業日 定休日なし
営業時間 10時-15時
入場料 大人8$ 子供5$

体験乗車 大人5$ 子供4$
11時から30分間隔で発車します。


住所
Geijera Place, at the end of Cunningham Street, in Kingston ACT

キャンベラ駅から徒歩10分


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