オーストラリア・ニュージーランドの鉄道を紹介します!
AUandNZ Railfan
Australia and New Zealand Railfan
シタディス305
Citadis 305
パンタグラグによる架線集電と、第三軌条からの地表集電が可能なハイブリッド集電車両です。
CBDサウスイーストライトレール用にアルストムのCitadis X05 シタディス305が投入されました。
車両は5両の連接車体を2つ1組で動作するように結合されています。合計で10両編成を基本としています。
当初の案ではゴールドコーストと同じような7連接程度、全長約45メートルの長さで単一の編成として運用する予定でした。
また、ジョージストリートのバサーストストリートとサーキュラーキーの非架線区間では、バッテリー走行とする予定でした。
2014年12月、バッテリーの代わりにAlstom 独自の Aesthetic Power Solution 地表集電方式が使用されることになりました。
トラムの長さも短縮されますが、トラムは5連接を2本繋いだペアで動作するようになり、ペアの全長は約67メートルになります。
最初の車両は2017年5月に完成しました。
最初の6編成はフランスのラロシェルで製造され、残りの54編成はスペインのバルセロナで製造されました。
車両正面のデザインは、ブラックフェイスを基本とし、グレーの縁取りを取り入れ、精悍な顔つきとなりました。
このグレーの縁取りにそってヘッドライトが並びます。
対してテールライトは横一本を車両下部に搭載、点灯していない状態ではブラックフェイスに取り込まれ、あたかも存在していない
ように見えます。
夜間は縁取り全体を発光させることで、車両の存在を周囲に知らせています。
画像上
昼間のため、ヘッドライトのみを点灯。
画像下
夜間は正面縁取り全体が発光します。(左の編成)
車両前面のグレーの縁取り比較。
画像上
進行方向ではないため、縁取りは発光していません。
なにも知らなければ、この縁取りがまさか発光するとは思わないでしょう。
画像下
進行方向が切り替わり、正面の縁取りが点灯しました。
点灯していない状態ではそもそもこの縁取りの部分が発光すると感じさせないデザインは、かつてのガラケーNTT docomo
のSH905iを連想させます。SH905iはガラケー全盛期の2007年に登場したハイエンド端末で、各メーカーが趣向を凝らした新機種を
次々と投入する時代の中、特に未来的なデザインが人気となっていました。
シタディス305のライトパターン切替動画です。
ガラケーを思わせる多彩なライトパターンが特徴的です。
車両は5連接を2本繋いだペアで動作するようになり、編成は連結器で接続しています。
2本繋いだ全長は約67メートルになります。
当初は全長45mの基本編成を単独で運用させる計画でした。
また、ムーアパークなどでイベントが開催される際は2本繋ぎ全長90mで運用、それに対応させるために
セントラル駅やムーアパークなど、主要駅のみホームも90mで建設する予定でした。
連結器上には、歩行車が跨いで通行しないようにバリケードが設置されています。
車両の全長が長いため、もしもこのバリケードが無かったらトラムの停車中はここを跨いで反対側へ行こうと考える人が
一定数いたことでしょう。
テールライトは最後尾の車両と中間の運転台車両の両方が点灯します。
ブレーキをかけるとブレーキランプが点灯します。
テールライトは横ライン1本ですが、ブレーキをかけると運転台付近にもう1本と、
テールランプの横ライン上にスポットでブレーキランプが点灯
正面の行先表示機。
大型のオレンジ色のLEDです。
側面の行先表示機。
こちらも正面と同じ、オレンジ色のLEDです。
パンタグラフ。
地上集電区間走行時は使用しないので、このように折り畳めます。
乗降扉。
押しボタンによる半自動プラグインドアです。
ドアが開くと足元のスポットライトが点灯します。
乗降扉の渡り板には、アルストムのロゴが刻印されています。
運転室後ろ客室。
運転室との仕切りガラスは薄いスモークがかかっています。
乗客は前面展望を楽しむことができます。
運転室。
左手側にワンハンドルマスコンが設置されています。
奥に倒すと力行します。
速度計。
100kmまで表示可能となっています。
営業最高速度は70kmですが、全体的にすごくゆっくりと走っています。
その他操作ダイヤル類。
重要なダイヤルはうっかり回してしまうのを防止するカバーキャップが付けられているようです。
運転室と客室の仕切り左上に、アルストムのロゴが掲げられています。
2+2の固定クロスシート。
クロスシートは台車上に配置され、台車の高さに合わせて少し段になっています。
台車のない中間車。
通常の座席はなく、車椅子スペースを重視した立席がメインです。
車椅子スペース。
車内が混雑していないときは、1つのスペースにつき3席を、それぞれ独立して引き降ろすことができます。
車内案内表示機。
液晶で、次の停車駅や乗換案内が流れます。
乗降扉押しボタン。
基本的にはボタンを押さないと扉は開きません。
非常通報装置。
信用乗車制によるワンマン運転のため、車掌は乗務していません。
タウンホール駅にて集電方法切替の様子。
右の車両がタウンホール駅まで架線による集電で到着し、パンタグラフを下ろして地表集電に切り替えます。
この車両の最大の特徴として、一般的な架線からの集電と地表の第三軌条からの集電の二通りの集電方法に対応しています。
地表集電は給電用レールは線路の中央に敷設され、8mの給電区間と3mの絶縁区間が交互に連なっています。
車両下面の接地アンテナから誘導電流を出し、これを地上の誘導コイルで受けて制御箱のスイッチを切り替えることにより、
車両の真下にある部分の給電レールにのみ通電します。
また受電に失敗した場合も車載のバッテリーにより400mまでは自走が可能です。
そのため、車両のバッテリーは常にフル充電された状態です。
当初の計画ではサーキュラキー~タウンホールの非架線区間は給電用レールを用いないバッテリー走行で運用される予定でした。
バッテリー切れの心配がない地表集電の方が技術的には上ですが、給電用レールの追加が必要なため、完成時期の遅れの要因になりました。
さらに、運行開始後は地表集電によるトラブルが度々発生し、その度に全線全てのトラムが停止を余儀なくされました。
2019年12月14日の開通初日は10:00営業運転を開始しましたが、14時30分頃にトラブルが発生。約1時間立ち往生をしてしましました。
今回訪問したときもサーキュラキー~ランドウィックを乗車中にトラブルによる停止が複数回あり、本来の所要時間に対し40分の遅れとなりました。
現在は殆どトラブルもなく運行しているようです。
非架線区間を走行するシタディス305。
タウンホールの時計台下を走行するシタディス305.
タウンホール駅にて架線集電と第三軌条地表集電の切り替え風景。
パンタグラフを操作すれば簡単に集電方式を変更できます。
ランドウィック線のランドウィック→サーキュラキーまでの全区間4K前面展望映像です。
途中、ヘイマーケット付近でL1ダリッジヒル線と平面交差します。
ランドウィック線のサーキュラキー→ランドウィックの全区間4K前面展望映像です。
ランドウィック線のランドウィック→サーキュラキーの全区間4K前面展望映像です。
途中、バスレーン共用区間にて路線バスとすれ違います!
世界一美しい百貨店といわれるQVBが面するジョージストリートを走行するシタディス305。
地表集電方式は費用や保守の面で負担が増えますが、それ以上に都市景観を重視する姿勢は感銘を受けます。
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