オーストラリア・ニュージーランドの鉄道を紹介します!
AUandNZ Railfan
Australia and New Zealand Railfan
M編成イングリッシュエレクトリック
DM class English Electrics
ウェリントンの鉄道が電化された1938年から2012年まで活躍しました。
1938年7月2日、ウェリントンのジョンソンビル線の電化に合わせ運行を開始しました。
その後ウェリントンの近郊区間の電化により、1942年と1946年に新たに投入されました。。
1982年からガンツマーバグの登場により、ラッシュ時とジョンソンビル線のみの営業となりました。
2012年6月25日にマタンギに置き換えられる形で全てのDM編成が引退しました。
車両はイギリスのイングリシュエレクトリックで合計49両が製造されました。
モノコックボディの丸みを帯びた車体が特徴的です。
モーター車のDMとトレーラー車のDで編成は構成され、
ウェリントン駅←DM+D 座席定員132
ウェリントン駅←D+DM+D 座席定員204
の2両編成と3両編成があります。
DMは荷物スペースもあるためDより定員が少ないです。
車長は19.2mと、マタンギやガンツマーバグと比べると短めです。
最高速度は97km
2000年前半にリニューアル工事を受け、前照灯の改良、シングルアームパンタグラフ化、座席の交換が行われました。
DMにある荷物スペース。
パンタグラフ下にあります。
車両連結部に面しているため、車両間の旅客の通り抜けはできません。
Dの方は荷物スペースが無いため、その分客室の座席定員が多くなっています。
妻面の顔はどちらも似た造りです。
D車内
扉付近はロングシート、扉間は転換クロスシートとなっています。
ウェリントンの近郊列車では唯一座席の向きを旅客が転換できる車両でした。
D運転席側
周辺には転換クロスシートが並んでいます。
運転席は完全に仕切られ、中を伺うことはできません。
助手席側は仕切りが低いため、窓が小さいものの前面展望が一応可能です。
車掌がこのスペースで待機していることが多いです。
D車両妻面付近。
車内一杯に転換クロスシートが並んでいます。
真ん中の貫通扉は非常用となっています。
モノコック構造の丸い車体が内部からでも伺うことができます。
ニュージーランドの近郊列車では唯一見ることができる転換クロスシート。
DM妻面付近。
この先は荷物スペースのため、完全に仕切られています。
周辺はロングシートになっています。
荷物スペース内部
運転台はありません。
あまり大きな物も置かれておらず、デットスペースのようになっています。
荷物スペースの扉は片開きとなっています。
荷物スペースは客室と扉で繋がっています。
扉は両開きとなっています。
塗装はされておらず、無骨な様相です。
ラッシュ時のみに稼働していたDM3両編成
3両編成の中には1950年から2012年まで60年以上も活躍した車両もあります。
3両編成は真ん中の車両がDMとなっています。
ヘッドライトはそのまま残っていますが、テールランプは埋められています。
2両編成では表に出るはずのDMウェリントン駅側を拡大
ジョンソンビル線電化70周年記念列車
なお電化時に投入された初期編成は全て1980年代に運用離脱しています。
2008年にジョンソンビル線は電化70周年を迎えました。
撮影は2012年なので、4年間掲示したままのようです。
記念ステッカー拡大
登場時は赤茶色に白いラインカラーだったことが分かります。
前面も黄色に塗られていません。
運転台側が先頭に立っているので、DMとDの編成が現在と異なります。
1955年時の写真。
ウェリントン駅向かいのマクドナルドで展示してあります。
DMとDの編成が現在と逆になっているため、当時はDMもDも両運転台で自由に編成を組めたことがわかります。
分かりにくいですがテールランプが連結器付近の左右にも設置されているのが確認できます。
当初はテールランプ(もしくはその他の用途の照明)が4つあったことがわかります。
登場時の原型を保っているDM(左)とリニューアルされたDM(右)
側面の塗装やヘッドライト、パンタグラフ(片方のDM編成のみ)が異なります。
非リニューアルDM。
2両編成が2本、計4両が末期まで活躍していました。
前面が黄色に塗装されている点以外は登場当初に近い外観となっています。
荷物スペース付近
屋根にヘッドライトの撤去跡のようなものは確認できないので、最初から運転台は設置されていなかったと思われます。
この原型を保った車両はキュプロークス(英語読みでサイクロプス)と名付けられています。
キュプロークスはギリシャ神話に登場する、額の中央に丸い眼が一つだけある単眼の巨人です。
大型ヘッドランプが一つ車体上部に載っている様をキュプロークスに重ねてそう呼ばれているようです。
大型ヘッドランプを搭載した最後の車両という表記になっていますが、実際には4両編成だけでなく
2両編成でも稼働しているため、実際は2本いることになります。(2012年2月時点)
DM27+D163 Goodwill Express(善意の列車)
この編成は寄付により保存されることが引退前に決まりました。
寄付の感謝を記したステッカー。
この編成は南島のカンタベリー鉄道協会(Canterbury Railway Society)に保存されました。
車内の様子。
リニューアル車両とほぼ同じですが、照明がリニューアル車は天井に1列の蛍光灯が伸びていたのに対し、
こちらの車両は白熱灯が2列並んでいます。
運転席側
こちらも車内は照明を除いてリニューアル車と同じようです。
運転台付近
助手席側と客室の間の背の低い仕切りが未設置です。
DM荷物スペース側
リニューアル車と同様にロングシートとなっています。
D妻面付近
こちらもリニューアル車と同様です。
モノコックボディの特徴ある丸みが車内からでもわかります。
こちらの車両は座席がリニューアル車両と異なる革張りの転換クロスシートです。
運転席側
こちらの車両は助手席と客室の間の
背の低い仕切りが設置されています。
革張りの転換クロスシート
リニューアル車と比べて高級感が漂います。
運転席付近
運転席は客室と完全に仕切られています。
デッキ付近
客用扉上部には扉付近を照らす照明が設置されています。
照明が蛍光灯で明るくなったために、リニューアル車では撤去したと思われます。
D運転席側前面
垂れ下がった何本ものジャンパ線が特徴的です。
ウェリントン駅を発車するDM編成
点滅するテールランプが印象的です。
ウェリントン駅を発車するDM編成オリジナルタイプです。
夜のウェリントン駅を発車するDM編成
不規則に点滅するテールランプがなんとも言えません。
ジョンソンビル線は急勾配による車両制限のため、長らくDM編成のみが走行していました。
現在は全てマタンギに置き換えられ、74年間親しまれたDM編成は姿を消しました。
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