オーストラリア・ニュージーランドの鉄道を紹介します!
AUandNZ Railfan
Australia and New Zealand Railfan
シドニーモノレール
Sydney Monorail
シドニーモノレールは、正式にはメトロ・モノレールと言い、シドニー市内西部のダーリングハーバーなどの港湾地区やチャイナタウン、
シドニー中心業務地区などを単線で結ぶ環状の路線でした。
フォン・ロール社製のモノレールを採用し、全列車無人運転で、常時4本の列車が運行されていました
。
全線の所要時間は約12分。
メトロ・トランスポート・シドニーが運営し、モノレールの一部区間で同一事業体が運営するメトロ・ライト・レールの
路線と重複していました。
料金は、1乗車につき4ドル90セントで、モノレールとメトロ・ライト・レールとの共通一日券は15ドルでした。
線路は単線で反時計回りの運転でした。
公共交通としてはあまり機能しておらず、観光用モノレールといったところでした。
また、クリスマスは運休でした。
<路線データ>
・路線距離 (営業キロ) :3.6km
・方式:跨座式
・駅数:8駅 (起終点駅を含む)
・単線区間:全線
・電化方式:交流500ボルト
・乗客数:年間400万人
・平均速度:33km/h
・
940mm幅の箱型鋼管製軌道を、20 - 40m間隔に設置された橋脚で支える全線高架方式でした。
軌道の最低地上高は5.5m、最小曲線半径は20m、最急勾配は登坂4.4%、降坂6.5%。
各駅では、減速と乗降、加速にそれぞれ40秒を要し、全線を12分で運行していました。
全列車での1時間辺りの輸送量は5000人。
全列車無人運転が行われていたが、
開業後数年間は自動運転に関する故障が頻発したため、一定期間先頭車両に乗務員を配置していたようです。
ライトレールとの接続駅であったパディーズマーケット駅。
筒状の近未来的なデザインが特徴です。
昭和に発刊された未来予想図にいかにも出てきそうなデザインです。
まさにレトロフューチャーといったところです。
パディーズマーケット駅を発車するモノレール。
パディーズマーケット駅を出るとライトレールと離れ、チャイナタウンを縫っていきます。
チャイナタウン駅。
ビルから突出したデザインが特徴的。
かつてはガーデン・プラザ駅と称していました。
また、計画時にはダーリング・ウォーク駅で、その後ガーデンサイド駅と変更されました。
平日の朝7時から9時までのみ使用され、それ以外の時間は閉鎖されています。
チャイナタウン駅プラットホーム。
チャイナタウン駅を発車するモノレール。
ワールドスクエア駅。
計画時はシティー・サウス駅という駅名でした。
2005年に駅が改築され、ワールド・スクエアビルと一体となりました。
ワールドスクエア駅を発車するモノレール。
ギャラリー・ヴィクトリア駅。
駅のデザインはパディーズマーケット駅とよく似ています。
かつてはパークプラザ駅と称していました。
また、計画時にはタウンホール駅でした。シティレール(当時)のタウンホール駅とは繋がっていません。
2000年に駅が改築されました。
ギャラリービクトリア駅を発車するモノレール。
シティーセンター駅。
駅が完全にビルの中に取り込まれています。
かつての姫路モノレールの大将軍駅を彷彿とさせます。
開業から1989年半ばまでは、隣接したショッピングセンターが建設中であったため、近くのピット通り上に仮駅が設けられていたそうです。
シティセンター駅に入線するモノレール。
シドニータワーを背にダーリングパーク駅を目指します。
ダーリングパーク駅。
計画時にはカジノ駅でしたが、ガジノはダーリングハーバーを挟んで反対側、ライトレールのスターシティ駅に建設されました。
カジノ利用者の輸送を重点にしていたモノレールにとっては痛手だったらしく、その後のモノレール不要論の一因となりました。
ダーリングパーク駅を発車したモノレール。
ダーリングパーク駅を発車するとすぐにダーリングハーバーを渡ります。
ハーバーサイド駅。
ダーリングハーバーを渡ってすぐの駅です。
筒状のデザインが特徴的です。
ハーバーサイド駅に到着したモノレール。
筒状の駅に飛び出した車両がホットドックに似ています。
ハーバーサイド駅を出てコンベンション駅に近づくとライトレールの線路が平行します。
コンベンション駅。
ライトレールとの乗り換え駅でした。
この駅からパディーズマーケット駅まではライトレールと線路が平行していました。
車庫はコンベンション駅とパディーズマーケット駅間の、ライトレールの線路上に設置されていました
夜間および車両メンテナンス時には、軌道を平行移動させるトラバーサーによって車庫へ入線させていました。
車庫で休む車両たち。
車両はスイスのフォン・ロール社製MK3タイプで、同メーカーの標準的なモノレールでした。
1987年に当時のTNTハーバーリンクへ納車されました。
列車は7車体1セットの編成で6編成が在籍していました。
車内は8人で一つのコンパートメントとなっており、車両間の通り抜けはできません。
先頭車両を除く6車体で48席があり、運転台が設けられた先頭車両を含めると56席。
運転台です。
反時計回りの片側運行のため、運転台は先頭車両1両のみに設置されていました。
基本的には無人で、自動運転を行っていました。
鋼管軌道の側面に設けられた電車線から集電し、鋼管軌道の上面端部に設けられたガイドレールに沿って
走行していました。
車両には緊急時用として発電機が備わっていました。
列車制御と車両メンテナンスは、コンベンション駅とパディーズ・マーケッツ駅の間に設けられた
車庫で行われていました。
7車体の内の6車体に37kW の電動機を持ち、ゴム製の車輪を駆動し、平均時速33kmで走行していました。
床面の高さは全自動サスペンションシステムにより一定を保ちます。
それぞれの列車は長さ32.12m、幅2.06m、高さ2.6m。
一方通行で運賃も高いモノレールは公共交通としての使命を十分に果たせていなかったため、全線を廃止した上で
ライトレールに置き換えられることとなりました。
ライトレールはモノレールの路線に完全に沿ったものではありませんが、他の鉄道線やフェリーとの接続を意識したルートとなるようです。
この計画のためモノレールの設備は早くも撤去され、現存しません。
なおモノレールの車両は以下の通り保存されました。
・第2編成1+3 ナショナルトランスポートミュージアム National Transport Museum
・第3編成1+2 パワーハウスミュージアム Powerhouse Museum
・第3編成6+7 ペイモントにあるグーグルのオフィス
・第4編成全て シドニーエレクトリックトレインソサイエティ Sydney Electric Train Society
ビルの合間を縫ったりダーリングハーバーを見下ろしたりとモノレールからの眺めは大変良く、いつまでも走って欲しかったものです。
---PR---