バイロンベイ駅
Byronbay Station

バイロンベイ駅は、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州バイロンベイのマーウィランバ線にある廃駅です。
1894年5月15日に開業し、2004年5月16日にカシーノからマーウィランバまでの全線廃止と同時に閉鎖されました。
駅舎は1894年から1913年にかけて建設されました。
この駅舎は1999年4月2日にニューサウスウェールズ州遺産登録簿に追加されました。

バイロンベイ鉄道のバイロンビーチ駅よりカシーノ方面。

かつてのバイロンベイ駅へと線路が続いています。
バイロンベイ鉄道は写真の幹線道路の踏切を復活させず、バイロン駅まで300mのところにバイロンビーチ駅 を設置しました。
仮にこの踏切の存在が問題とならなかった場合は、バイロンベイ鉄道はその名の通り、バイロンベイ駅に乗り入れていた と思われます。


使用されなくなった踏切と、バイロン駅構内。

踏切の警報機にはカバーが被せられています。
放置されてはいますが、少し手を入れたら再び機能することも可能な状態に見えます。


営業当時の表示が残っています。
警報機が点灯したら止まるように書かれています。
現在は必要のない表示のためか、落書きさせるがままになっています。


バイロンベイ駅構内。

腕木式信号機の柱が残っています。
構内は側線をいくつか有し、それなりの広さだったようです。


バイロン駅プラットホーム。

片側1面のホームが見えます。
本線と側線が何本かあったようです。


転轍機跡。

本線と側線の切替に使用していました。
末期は本数も少なく、殆ど使用していなかったと思われます。


バイロンベイ駅構内。

本線の線路は残されています。
本線の隣の側線1本分の枕木も残されています。
さらに右隣にも1線分の敷地があり、こちらにも側線があったと思われます。


バイロンベイ駅ホームと駅舎。

敷地内の一部は柵で囲われています。
一旦道路に戻り、駅舎正面に向かいます。


バイロンベイインフォメーションセンター。

バイロンベイ駅施設を転用した観光案内所です。
バイロンベイの観光の拠点となっており、路線バスや観光バスの拠点となっています。


バイロンベイ駅舎1。

パブに転用されています。


バイロンベイ駅舎2

こちらは柵で囲われており、店舗等に活用はされていないようです。


柵で厳重に囲われた駅舎。

屋根から伸びる煙突が可愛らしい建物です。


建物は特に荒らされることもなく、営業当時の姿を保っています。


バイロンベイ駅プラットホーム。

駅舎周辺は柵で囲われている箇所があります。
EXITの案内表示は当時のままだと思われます。


柵で囲われた駅舎付近。

落書き等の被害に遭わず綺麗な状態を保っており、今にも扉が開いて人が出てきそうな雰囲気です。


バイロンベイ駅プラットホームよりカシーノ方面を望む。
ホームはそれ程長くなく、編成の長い客車列車では一部の車両がはみ出して停車していたと思われます。


バイロンベイ駅ベンチ。

1990-2000年代に多く見られた駅名入りベンチです。
地方の殆どの駅は駅名看板の代わりに駅名入りベンチを使用しています。
シドニー近郊でもこのようなベンチは多数ありましたが、リニューアルで殆ど交換されています。


バイロンベイ駅プラットホームよりマーウィランバ方面を望む。

綺麗なプラットホーム、線路、そして駅名入りのベンチ。
路線廃止前の風景を現代に残しています。


バイロンベイ駅ベンチその2

こちらのベンチは状態が悪く、手前の敷板が欠落しています。


バイロンベイ駅は駅名ベンチが2つ残っています。


プラットホーム西端。

倉庫のような建物があります。
シャッターの裏には鉄道備品が詰められていたのでしょうか。


バイロンベイ駅よりカシーノ方面の線路は埋められています。
駐車場に転用されていましたが、線路跡の敷地自体はずっと続いているようです。



マーウィランバ線は終点のマーウィランバが比較的ゴールドコーストに近く、シドニーと ゴールドコーストを結ぶ路線として有名でした。
1905年、シドニーから東海岸線沿いに伸びていた線路がマーウィランバまで繋がりました。
マーウィランバからクイーンズランド州に線路を伸ばし、ゴールドコーストやブリスベンへ乗り入れる計画も ありましたが、1930年にカシーノから内陸を通ってブリスベンに到着するノースコースト線が完成し、カシーノ からマーウィランバの間はノースコースト線の支線となりました。
ノースコースト線のカシーノに停車する長距離列車ブリスベンエクスプレスやブリスベンリミテッドに合わせる 形で620/720クラス気動車がローカル輸送を行っていました。
1973年、支線となったマーウィランバ線に転機が訪れます。
ゴールドコーストモトレールはシドニーとマーウィランバ間の直通旅客列車と、自動車運搬サービスを提供しました。
高まる人気に応えるべく、1978年にノースコーストオーバーナイトエクスプレスが導入されました。
ザ・ゴールドコーストカートレインは、運行開始初年度はマーウィランバ駅で26,000の予約が入り、1980年には 51,000を超えるまで増加しました。
これらの直通列車の運行には自動車運搬による追加の費用も合わせて年間1150万ドルの費用がかかりましたが、 利益は2250万ドルを超えており、営業係数はほぼ50円でした。
1990年2月、ゴールドコーストモトレールとノースコーストオーバーナイトエクスプレスは、CountryLink XPT夜行便 に置き換えられました。
XPTの運行によって運行経費は削減されましたが、総座席数が1,600から434に減少、自動車運搬サービスも廃止となった結果、 マーウィランバ線の利用者は減少しました。
2002年に貨物列車(輸送品はフライアッシュとバナナ)が廃止となりました。
2004年4月、NSW政府はマーウィランバ線の運行は「不採算」であるとし、純粋に経済的な理由で廃止を発表しました。
2004年5月15日、最後のXPT列車がマーウィランバ駅を発車、バイロンベイを通り、 この地域での110年の鉄道輸送に終止符を打ちました。


線路上を横断しないよう警告する看板。

運行当時のまま残されていました。


看板の拡大。

今は亡きCountry Linkの表記とロゴマークが残っています。
この表記はXPTの機関車にも描かれていましたが、XPTを運行するブランドがNSWトレインリンクに変更となり、 全て消されました。
CountryLinkの痕跡を今に残す貴重な存在です。


日が暮れてきて、パブが賑やかになり始めました。

駅舎がパブとなったおかげで、深夜にも人の目があるため落書き等の被害に遭いにくい環境になったと思います。


使用していない方の駅舎も、電気が灯っています。
ニューサウスウェールズ州の遺産登録を受けていることもあり、明るく綺麗な状態を保たれています。


バイロンベイ駅前通りから発着する、スカイバス。

スカイバスはブリスベンやゴールドコースト、メルボルンで運行している空港リムジンバスです。
スカイバスは予約をしなくても乗車できますが、割引や着席保障を考えると、事前に予約をする方が安心です。 バイロンベイとゴールドコースト空港の間はスカイバスの他に、ツアー会社のシャトルバスも何社か運行しています。
今回は時間の関係でゴールドコースト空港からバイロンベイまではツアー会社のシャトルバスを利用しましたが、 なんと前日になって予約数が少ないため1本後のシャトルバスに振り替えるという連絡がSMSに届いていました。
バイロンベイ鉄道の本数がそれなりにあったので満喫はできましたが、運行が確実なスカイバスの方がオススメです。


1時間程でゴールドコースト空港に到着。
ゴールドコースト空港からはルート777のバスでゴールドコーストライトレールG:Linkの接続駅、ブロードビーチサウス駅 まで行くことができます。

なお、バイロンベイはニューサウスウェールズ州でサマータイムを採用、ゴールドコーストはクイーンズランド州で サマータイムは導入していません。
そのため、サマータイムの実施期間は30分の時差が発生するため、乗車時刻には注意が必要です。


30分程でブロードビーチサウス駅に到着。

ここからG:Linkに乗り換え、終点のヘレンズベール駅でクイーンズランド鉄道のシティトレインに接続、ブリスベンまで 行くことができます。
バイロンベイからブリスベンにへは、直通のツアーバスもあるようですが、3回乗り換えることで公共交通機関でも 向かうことができます。


バイロンベイ駅構内の腕木式信号機を転用したバイロンベイ鉄道の看板。
およそ100年続いたバイロンベイの鉄道に新たな歴史を刻み始めました。



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