オーストラリア・ニュージーランドの鉄道を紹介します!
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Australia and New Zealand Railfan
グレネルグトラム 車両紹介
Glenelg Tram Fleet
フレキシティ クラシック
フレキシティクラシックはグレネルグトラムの主力車両です。
フレキシティはボンバルディアが製造する低床トラムのブランドで、クラシックは左右独立車輪を使用しない
部分低床車両です。付随台車を2つ持つ中間車体の両端に、動力台車を持つ運転台付き車体を組み合わせた3車体連接車です。
フレキシティは2006年に導入され、1929年のグレネルグトラム電化当時から活躍していたH classを置き換えました。
グレネルグトラムでは76年ぶりの新形式車両となり、冷房も初めて導入されました。
15編成が活躍しています。
編成番号は101-115
フレキシティ導入に際して、ホームの嵩の変更等の路線改良が行われました。
塗装はアデレードメトロの黄色を主体とした標準塗装の他、側面フルラッピング車両があります。
アデレード繁華街を走行するグレネルグトラムは正に動く広告塔です。
扉は押しボタンで開ける半自動式となっています。
車内
部分低床車のため、車両端の方はステップがあります。
座席はボックスシートです。
H classに対しフレキシティは座席の数が少ない上に増結運転もできないため、運行開始当初は積み残しも発生したそうです。
運転台付近以外はフラットになっています。
黄色のスタンションポールが目立ちます。
一部にはつり革も設置されています。
車内の改札機。
チケットを入れることで改札ができます。
グレネルグトラムでは車掌が乗務しているため、車内で切符を購入した場合はすぐにこの機械で改札します。
車内は禁煙、飲食禁止となっています。
監視カメラが設置され、車内の治安を維持しています。
非常時にはドアコックを使用してドアを手動で開けることができます。
非常停止装置もあり、ドアコックと対になって各扉に設置されています。
非常停止装置。
レバーを下に引くと列車を緊急停止させることができます。
非常時以外に使用すると500ドルの罰金が科せられます。
低床車両は床下に機器が搭載できないため、従来車両と違い走行機器の殆どが屋根に設置されています。
集電はシングルアームパンタグラフ1つで賄っています。
シタディス302
シタディスはアルストムが製造する低床トラムのブランドです。
シタディス302はスペインのマドリードで新規開業するLRT、 Metro Ligero(メトロリヘーロ)のためにフランスで76編成が製造されました。
しかし、メトロリヘーロの計画が一部変更となり、6編成が余剰となりました。
グレネルグトラムは路線延長で新たな車両が必要だったため、本来マドリードで活躍するはずの6編成を2009年に
買い取りました。
メルボルンのヤラトラムの工場でマドリード仕様であったものに改造を施し、編成番号は201-206となりました。
外観はメトロリヘーロと同一で、オーストラリアとスペインという全く違う土地で兄弟機が活躍してます。
車体は5連接で全長は32mです。
フレキシティが30mなので、グレネルグトラムでは一番長い車両ともいえます。
塗装はメトロリヘーロ仕様そのままなので、黄色が主体のアデレードメトロの中では異彩を放つ存在です。
車内。
ボックスシートが主体で、車椅子スペースの周辺はロングシートになっています。
車椅子スペースには立ち席の人が軽く寄りかかることができる腰掛が設置されています。
ボックスシートの下に走行機器があるため、ボックス座席に座るには1段上がる必要があります。
車両間の幌が広く取られているため、フレキシティよりも開放感のある車内となっています。
運転席。
運転席越しに前面展望ができます。
ワンマン運転には対応していないため、客室とは完全に仕切られています。
なおメトロリヘーロにおいては信用乗車制で改札がなく、グレネルグトラムでは車掌が乗務するため、問題なく運用できています。
扉は押しボタンで開けることができる半自動となっています。
車内改札機は車内中央に設置されています。
H class
Hクラスは1929年のグレネルグトラム電化の際に製造された車両で、2006年1月にフレキシティが導入されるまでの主力車両でした。
現役末期の頃はオーストラリアで最も長く運行している剛体路面電車でした。
この車体スタイルはかつてのアメリカの都市近郊電車に準じています。
車両は増結をして2両編成で運行することができ、増結用のトレーラー車両もありました。
最高速度は80km
2005年には21両が在籍しており、電動車が15両、トレーラー車が5両、レストランカーが1両でした。
車両番号は351-380が当てられていました。番号は製造順ではありませんでした。
現役引退後は、各地の博物館で保存された他、イベント用車両としてグレネルグトラムでも保存されることになりました。
貴重な機械遺産として、休日や特別な日に運行されるようです。
こちらはシドニー近郊のロフタスにあるトラムウェイ博物館に保存されたHクラス358。
一般展示スペースに保存されているため、自由に見学することができます。
シドニーとメルボルンの路面電車に挟まれて置かれていました。
乗降扉は両開き折り戸式で、かつてバスで一般的であった扉とよく似ています。
扉下には折りたたみ式のステップが格納されています。
車内。
革製の転換クロスシートが並んでいます。
扉付近はロングシートとなっています。
天井からは革製のつり革が下げられています。
座席定員は64人です。低床車両と比較して座席がとても多いです。
車両真ん中には仕切りがあり、客室を2つに分けることもできます。
画像左側には方向幕も確認できます。
座席。
重厚な革張りの転換クロスシートです。
運転台後部。
運転台はデッキ上にあり、客室と仕切ることができます。
デッキの仕切りは車両中心にある仕切りと比べ、間口が広く取られています。
デッキ周辺はロングシートとなっています。
非常時の避難経路。
車内構造は近年の低床車と比べシンプルです。
Hクラスは最期まで非冷房でした。
そのためか窓を自由に開閉することができます。
窓を開ける際は、革ベルトで窓が下に閉じないように固定します。
1929年に製造されたHクラスはアデレードのグレネルグトラムで活躍しました。
1971年と1987年に車両更新工事が施されました。
2006年8月にトランスアデレードでの運行を引退した後、2006年11月にシドニートラムウェイ博物館に持ち込まれました。
2つ目の前照灯が特徴で、テールランプやウィンカーも備えています。
車両前部。
展示車両同士が近く、引きが無いためパノラマ撮影となっています。
扉下には折りたたみ式のステップが装備されています。
運転席上部には行先表示の方向幕もあります。
車体を大きくくねらせ、アデレードレールウェイステーションに入線するフレキシティ。
暫定の終点であったシティウェストで発車を待つフレキシティ。
シティウェストで発車を待つフレキシティ。
グレネルグの終端にある留置線で出番を待つフレキシティ。
南国の雰囲気が漂うグレネルグで発車を待つフレキシティ。
グレネルグの駅前広場の中にある留置線に留められたフルラッピング車両の広告効果は抜群です。
遮るものが少ないグレネルグの留置線は編成写真の撮影にも向いています。
夜のグレネルグを走行するフレキシティ。
夜のサウステラス駅を発車するフレキシティ。
サウステラス駅に入線するシタディス。
離合するシタディスとフレキシティ。
シタディスは多くの兄弟機がマドリードで活躍するなか、6編成だけがアデレードでの運行となりました。
マドリードのメトロリヘーロではシタディス302で車両が統一されているため、異形式との離合が見られるのは
アデレードならではとなりました。
連接バスと離合するフレキシティ。
アデレードは連接バスも多く、公共交通機関の利用が多いことが伺えます。
アデレードレールウェイステーションとシティウェストの間にある僅かな単線区間を
走行するフレキシティ。
ビクトリアスクエアの脇を駆け抜けるフレキシティ。
ビクトリアスクエアの外周を走るフレキシティ。
以前は緑地部分が終点となっていたビクトリアスクエア駅でした。
ビクトリアスクエアの外周を走り、シティ中心部へと向かうフレキシティ。
アデレードメトロのバスと並ぶフレキシティ。
アデレードメトロは鉄道もトラムもバスも運賃共通、2時間券と1日券だけという誰にでもわかりやすい形態です。
そのおかげで全ての交通インフラが有効に活用されています。
サウステラス駅で離合するシタディスとフレキシティ。
長年活躍したHクラスに代わり、グレネルグトラムの顔となりました。
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