シドニーCBD・サウスイースト ライトレール L2 ランドウィック線
Sydney CBD and South East Light Rail L2 Randwick Line

2015年10月に建設が始まり、サーキュラーキーとランドウィックの間L2ランドウィック線は2019年12月14日開通しました。
2020年4月3日にはサーキュラーキーとムーアパークまで線路を共用するキングスフォードの間のL3キングスフォード線も開通しました。

2012年12月13日、サーキュラーキーからジョージストリート、セントラル駅、ムーアパーク、アンザックパレード、キングスフォードとランドウィックへの支線を結ぶ16億ドルの路線を建設することが決まりました。
建設は2014年に始まり、2018年4月に開通する予定でした。。
計画は途中で何回か変更され、路面電車の長さを45メートルから67メートルへ変更、それに伴う全ての駅のプラットホームの長さの修正、いくつかの駅の再設計、 電力供給方法の切り替えがありました。
電力供給方法の切り替えは、サーキュラキー~タウンホールを空中に架線を張らないワイヤーフリーにするための重要な部分で、 当初は車体にバッテリーを搭載し、電化区間及び駅にて充電をする計画でした。
これをはアルストム独自の第三軌条による地表集電方式に変更しました。
そのため、当初はタウンホール駅を境に電化区間と非電化区間に分かれるはずでしたが、これにより全線電化(空中架線と地上電線)されること になりました。
また、予想建設コストが16億ドルから22億ドルに増額されました。

画像は新規開業を告知する広告。
自慢の地表集電区間を走るライトレール。線路と線路の間が集伝レールです。


サーキュラーキーとランドウィックの間L2ランドウィック線は2019年12月14日開通しました。
左側のサーキュラキー~タウンホールの4区間が架線のない地表集電区間です。
2020年4月3日にはサーキュラーキーとムーアパークまで線路を共用するキングスフォードの間のL3キングスフォード線も開通しました。


ムーアパークからキングスフォードまでのキングスフォード線は訪問時開通前でしたが、既に路線図に書かれていました。


始発となるサーキュラキー駅。

シドニートレインズのサーキュラーキー駅と隣接しています。
左の高架がシドニートレインズのサーキュラキー駅です。


サーキュラキーで行き止まりとなる線路。

頑張ればさらに先まで延ばすことも不可能ではないでしょう。
シドニーオペラハウスまでは500m程離れているので、オペラハウス前まで延長されれば、すごく便利になると思います。
地表集電なので、景観も問題ありません。
そもそもオペラハウスの敷地は元々総延長300km超を誇っていたシドニートラムの 主要車庫の一つ、フォート・マッコーリー・トラム車庫でした。1958年に取り壊され、翌年からオペラハウスの 建設が始まりました 。 フォート・マッコーリー・トラム車庫の写真は、ハーバーブリッジにある博物館、 パイロンルックアウト等で確認できます。


サーキュラキー駅は2面3線構造です。
繁華街に位置するため、人通りが絶えません。


サーキュラキーを発車。

電子警笛を使用して人ごみを掻き分けていきます。


線路との境界は柵も無く、人との距離が非常に近いです。
通行する人は線路上を迂回することなく自由に横断できます。
街を分断しないLRTは人に優しい新たな公共交通機関となりました。


ジョージストリートの地表集電区間を走行。

ジョージストリートはかつて路面電車も走っていた繁華街で、廃止後は車とバスが頻繁に行き交う道となりました。
ライトレール開通にあたり、ジョージストリートをライトレールと歩行者のみとする方針を打ち出し、多くの反対意見が あったそうです。
結果的には車を締め出したことで歩行者は繁華街の道路をいつでも迂回することなく自由に横断できるようになり、さらなる活性化が期待できます。


QVBの横を走るライトレール。

QVB(クイーンビクトリアビルディング)は世界一美しい百貨店とも呼ばれ、人気の観光地です。
真横にはQVB駅も設置されました。
なお、QVBは地下でシドニートレインズのタウンホール駅とも繋がっています。


QVBの館内より、ライトレールを望むことができます。


5連接の車体を2本連結した10両編成のため、とても長いです。


タウンホールの目の前を横切り、タウンホール駅に到着します。
架線のない地表集電区間はここで終了になります。


タウンホール駅に到着。
ここから終点のランドウィックまで空中架線(トロリー)の区間となります。

到着直後のため、まだパンタグラフは下がったままです。



パンタグラフが上がりました。

これより一般的なトラムと同じく、架線より集電して走行します。


タウンホール駅を発車、ランドウィック(画像奥)へ向かって進みます。

左のTはシドニートレインズの入り口で、その左の建物は大手スーパーマーケットのウールワースです。
このウールワースは駅直結で複数フロアがあり、オーストラリアの食品、日用品、お土産を安く購入することができます。
コンセントの変換プラグも売っていたので、日本に忘れ物をしてもなんとかなるでしょう。6時から夜10時まで営業しているのも心強いです。


ヘイマーケット駅を走るライトレール。

チャイナタウン~ヘイマーケット間では、1997年に開通したライトレール、L1ダリッジヒル線と平面交差します。


ヘイマーケット駅を出るとすぐにセントラル駅の時計台の下を潜ります。


セントラル駅でL1ダリッジヒル線のアーボスと立体交差しました。

ダリッジヒル線はセントラル駅の構内に直接乗り入れていますが、L2ランドウィック線はセントラル駅の構内には 乗り入れません。


セントラル駅舎の前を走行。
10両編成という超編成が小さく見えるほど、セントラル駅は大きくて立派です。

このセントラル駅とライトレールの前を走る道路は通行量がとても多く、車の来ない瞬間に偶然ライトレールが来てくれました。


再びL1ダリッジヒル線と立体交差します。

ダリッジヒル線は、片側通行のアプローチ線によりセントラル駅構内に乗り入れています。
ダリッジヒル線とランドウィック線は平面交差1回と立体交差を2回、計3回交差することになります。


ランドウィック線のセントラルチャーマーズストリート駅に入線。

シドニーを発着する全ての列車の乗換駅です。
セントラル駅の構内には乗り入れていないため、単純なセントラル駅ではなくチャーマーズストリートが 加えられました。


ランドウィック線、キングスフォード線のセントラルチャーマーズストリート駅全景。
日本の国鉄標準のような、2面3線構造です。

かつてこの場所にはバックパッカーホテルがあり、その屋上からは複雑な配線のセントラル駅にアプローチする全ての列車が見える 素晴らしいトレインビュースポットがありました。
シドニーを訪問するなら是非とも宿泊したいホテルでしたが、このライトレールの建設により消滅してしまいました。


セントラルチャーマーズストリート駅に停車中のサーキュラキー行き電車。


ライトレールの線路上を走行する路線バス。

ムーアパーク~ロイヤルランドウィックの1区間はライトレールとバスレーンの共用区間となっております。
そのため、ラッシュ時にはライトレールとバスが連なって走る姿をみることができます。
ライトレールとバスレーンの共用は珍しく、他にもありそうでなかなか見つかりません。

ドイツにはこれの発展系として高架、地下を走行するライトレールと路線バスの共用区間もありましたが、こちらはバスが廃止されました。


ライトレールを追いかけるように走る路線バス。

一方でジョージストリートではライトレール敷設により、車と一緒に路線バスも締め出されました。
ジョージストリートを通っていた20余りのバス路線は起点の変更、廃止等に追い込まれ、それをカバーするにはライトレールでは 力不足という反対意見が多くあったそうです。


ロイヤルランドウィック駅付近にランドウィック車庫が設置されました。

ここではランドウィック線、キングスフォード線を走る全ての編成が収容されます。
この車庫では留置と簡易検査に使用し、重点検査はダリッジヒル線のリリーフィールド車庫で行います。


終点のランドウィックに到着しました。

ランドウィック駅は少し先の公園内に建設する計画でした。
公園の緑地を守るための反対運動があり、手前のこの場所が終着駅となりました。


ランドウィック駅は1面2線の島式構造。

シドニーのライトレールは全て信用乗車制です。改札機はありません。


ランドウィック駅で折り返し発車を待つライトレール。

繁華街のサーキュラキーと比較すると、のんびりした雰囲気が漂っています。


明朝、サーキュラキー駅に入線するライトレール。

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タウンホール駅にて架線集電と第三軌条地表集電の切り替え風景。
パンタグラフを操作すれば簡単に集電方式を変更できます。


ランドウィック線のランドウィック→サーキュラキーまでの全区間4K前面展望映像です。
途中、ヘイマーケット付近でL1ダリッジヒル線と平面交差します。


ランドウィック線のサーキュラキー→ランドウィックの全区間4K前面展望映像です。


ランドウィック線のランドウィック→サーキュラキーの全区間4K前面展望映像です。
途中、バスレーン共用区間にて路線バスとすれ違います!


地表集電区間と架線を組み合わせ、景観保護と実用性を両立したCBD・サウスイースト ライトレール。
オーストラリアを代表する新しい公共交通機関となりました。


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