ノーザンエクスプローラー乗車記2/2 ナショナルパーク~オークランド
Northern Explorer Ride 2/2 National Park to Auckland

ニュージーランドの首都ウェリントンから最大の都市オークランドまでの681kmを11時間で結ぶノーザンエクスプローラーは 毎週片道3本、週6往復運行されています。
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ノーザンエクスプローラーの車両紹介はこちら

ナショナルパーク駅。
ウェリントンから346.83 kmに位置します。
海抜806.8mで、ノーザンエクスプローラーで一番高い位置にある駅です。

ちなみにJRで一番高い駅は小海線の野辺山駅(1,345.67m)です。


かつてのオーバーランダー時代は駅にて軽食類の販売が行われていましたが、今回はそのような販売サービスはありませんでした。
オーバーランダー時代は1日に2本、オークランド行きとウェリントン行きが発着していましたが、現在は1日にどちらか片道 1本しか運行しなくなったため、採算が合わなくなったと思われます。
そのためか、停車時間も以前より短縮されました。


閑散としたナショナルパーク駅構内。

かつては観光の拠点でしたが、現在は最高地点の駅なので記念に停車するだけの駅といった雰囲気です。


ナショナルパーク駅を発車。

赤い屋根が特徴的な駅舎の姿が見えました。


ナショナルパークを発車すると、名所の1つであるラウリムスパイラルに差し掛かります。
ラウリムスパイラルとは、北島本線最大のループ線です。
ナショナルパークからタルマルヌイまで直線距離5kmに対し、高低差200mを緩和するために考案されました。


車内にあるラウリムスパイラルの全景写真。
ラウリムスパイラルは139mの高低差があります。
このような高低差をスイスで一般的なループ線で克服する場合、大規模な高架橋やトンネルが必要となります。
ラウリムスパイラルは元の地形を生かし、トンネルと高架橋を殆ど必要としないように設計され、トンネルは 僅か2つです。
ニュージーランド専門技術者協会ラウリムスパイラルをはエンジニアリングの傑作として、重要な技術遺産に指定しています。


ラウリムスパイラルのループ線部分に進入するノーザンエクスプローラー。


画像中央やや左付近、これから通るであろう線路の架線柱が見えました。


ラウリムスパイラルのループ線部分を下るノーザンエクスプローラー。


トンネルを抜け、これから通過する信号所が見えてきました。


大きくカーブし、ラウリム信号所へ下るノーザンエクスプローラー。

かつてこの場所を夜間に走行していた列車の運転士が、自分の列車の最後尾の光が前方に見え、先行列車 に追いついたと勘違いし追突を避けるために非常ブレーキを使用した逸話があります。


ラウリム信号所を通過。
ラウリム信号所はウェリントンから358.31 kmに位置します。

開業時はラウリム駅として、小さな集落の住人に利用されていました。
ラウリム駅は1978年に信号所に格下げされました。


ラウリムスパイラルを通過するノーザンエクスプローラーのポストカード。
売店で購入することができます。
この手のループ線は、俯瞰している写真を見た方が実際に乗っただけよりも理解しやすいことが多いと思います。


ナショナルパークから標高が下がり、背の高い樹木が目立つようになってきました。


タウマルヌイ駅を通過。
タウマルヌイ駅はウェリントンから397.75 kmに位置します。
かつてはオーバーランダーの停車駅でしたが、現在は10人以上の予約が無いと通過します。

構内の側線には、オークランドの電化により一掃された客車群が留置されています。


タウマルヌイ駅に留置されたSX客車(左)とSA/SD客車(右)。
共にオークランドで活躍をしていましたが、AMクラスによって全て置き換えられました。

SX客車はブリスベンの近郊用客車を改造したもので、SA/SD客車は英国のブリティッシュマーク2を改造したものです。


特にSA/SD客車が多く留置されています。
タウマルヌイにはSA/SD客車が104両、SX客車が6両留置されていました。
この車両のうち、一部はモザンビークに輸出されたそうです。


タウマルヌイ駅全景。

今回停車してくれれば留置車両をじっくり撮影することもできましたが、今回は予約も無かったようで、高速で通過して しましました。
なお、タウマルヌイへはオークランドから長距離バスが1日1往復しています。但し、タウマルヌイを朝に出て、夕方に オークランドから帰ってくるという現地住人向けのダイヤのため、車両撮影目的で利用するのは難しいでしょう。


2015年のークランドの電化によって行き場を失った100両以上のSA/SD編成とSX客車を、タウマルヌイ駅を通過するノーザンエクスプローラーより撮影しました。
映像としては逆行&全速力で通過してしまったためイマイチですが、雰囲気が伝わればと思います。


山肌から岩がいくつも突き出た奇妙な地形。


ずっと車窓ばかり追いかけていたので、そろそろカフェ車両へ食事に向かうことにします。


カフェ車両。

一通りものはケースに並べられている他、メニューもボードに掲示してあるため、英会話レベルが低くても問題なく利用 できます。


ここでしか買えないノーザンエクスプローラーのグッズも購入できます。

かつてのオーバーランダーでは鉄道グッズの類は一切なかったので、新型車両に対する意気込みを感じました。
帽子、ピンバッジ、トランプ、ペン、ポストカードなどがありました。


カフェ車両で油断している間に、大きな橋梁を渡っていたようです。
影の高さから、それなりに高い位置を走行していることがわかります。


少し日が傾いてきました。

ニュージーランドの大自然を朝から殆ど途切れることなく見ていましたが、 いつの間に夕刻が迫っていたようです。


テ・クイティ駅に停車。
テ・クイティ駅はウェリントンから475.66kmに位置します。

この駅も10名以上の予約が無いと停車しません。


テ・クイティ駅構内。

駅舎とホームの一部がカフェに改装されているようです。


テ・クイティ駅全景。

ここにもお宝のありそうな機関庫があります。


ニュージーランドを代表する鳥、キウイのモニュメントがありました。
実際のキウイはとても小さいうえに夜行性のため、車窓から野生のキウイを見ることは不可能です。


オトロハンガ駅に停車。
オトロハンガ駅はウェリントンから494.41kmに位置します。

オトロハンガ駅は一旦廃止となりましたが、2012年夏に復活しました。


オトロハンガ駅駅舎。
綺麗に保たれています。


オトロハンガ駅全景。


ハミルトン駅に停車。
ハミルトン駅はウェリントンから542.52 kmに位置します。

ハミルトン駅は温泉で有名なロトルワへの分岐駅で、かつてはロトルワ方面の定期列車も存在しました。


ハミルトン駅駅舎。

北島本線とトロルワ方面の分岐の間に立った、コンクリート製の大きめな駅舎です。
ハミルトンは人口も多く、2020年よりハミルトン駅からオークランドまでの通勤用定期列車が復活する予定です。


ハミルトン駅を発車。

左の線路がロトルワ方面の支線、右がウェリントンへ続く北島本線です。
ハミルトンからは平坦な地形となるため、山越えの電化区間はハミルトンで終了します。


ニュージーランドの大自然だった車窓も街並みに変化し、ここで軽食をとることにしました。
スープカレーとパン、レモンスカッシュで至福のひととき・・・


いよいよ太陽が沈み、夕闇が迫ろうとしています。


プケコヘが迫り、単線だった線路が複線に変わります。


プケコヘ駅に停車。
プケコヘ駅はウェリントンから628.86 kmに位置します。

プケコヘ駅はオークランドの近郊鉄道の南端で、ここからオークランドトランスポートと同じ線路を走ります。
プケコヘと次の駅パパクラの1区間は非電化のため、近郊列車はADK気動車が運行しています。


プケコヘ駅を発車。

プケコヘ駅横の留置線にはADK気動車が留置されていました。
プケコヘ駅はかつては1日2往復しか発着のない駅でしたが、オークランドの電化により過剰となったADK気動車をシャトル サービスとして全て配置したため、本数が大幅に増加しました。


パパクラ駅に到着。
パパクラ駅はウェリントンから647.02 kmに位置します。

パパクラからは25kvで電化され、近郊電車が多数発着しています。


終点のオークランドストランド駅に到着。
オークランドストランド駅はウェリントンから680.76 kmに位置します。

かつては近郊電車と同じブリトマート駅まで乗り入れていましたが、現在はブリトマート駅より1.5km手前の旧オークランド駅を復活させたストランド駅 がノーザンエクスプローラーの発着駅です。


ストランド駅。
かつてのオークランド駅でしたが、ブリトマート駅が開業すると一旦廃止となりました。
しかし、イベント輸送を想定しストランド駅としてホームを復活させました。
旧オークランド駅の駅舎は民間に転用され、今も残されています。


680.76 km、11時間の長旅が終わりました。


ストランド駅を出る乗客たち。

今まで終着だったブリトマート駅と比べると、あまりにも寂しいオークランドストランド駅。
基本的に乗客は送迎バスでオークランド中心部へ向かいます。


翌日の朝、オークランドを出発したノーザンエクスプローラー。
ウェリントンまで680.76 km、11時間の長旅の始まりです。


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